※Forbes寄稿記事のあとがきです。先に本編をお読みください。
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■Rob Dyrdekとの出会い
私がロブ・ディアディック氏を初めて知ったのは、数年前、アメリカ出張の宿泊ホテルで深夜TVチャンネルを適当にまわしていたときであった。日中の仕事で疲れ翌朝も早い中、何か考えずに気楽に垂れ流しながら寝落ちできる番組がないかと探していた時にMTVチャンネルの「Ridiculousness」に当たった。
その後も出張や旅行でアメリカに行く機会がある度に、深夜には決まってMTVでは「Ridiculousness」が放送されていた(それもそのはず、本編記事でも紹介しているように、MTVのほとんどが当番組なのだから)。当時は当番組を観ながら「MTVも変わっちまったな」程度にしか思っていなかった。
次に、ディアディック氏に接する機会があったのは、NetflixでSLSのドキュメンタリー映画「The Motivation」(2013)を観たときであった。ここで私は、以前から時折観て楽しんでいたSLSが「Ridiculousness」の司会者が創設したという事実を知った。
そして、東京五輪で最も楽しみにしていたスケートボード・ストリートを観初めたときに、「SLSと同じルールが使われているんだ」とぼんやり思い、気になって調べてみると、五輪種目正式決定後にSLSとIOC関連組織が業務提携を結んでいた事実を知り、ディアディック氏の過去についてザーッと遡って調べた。
「トッププロでなかった選手がオリンピックのルールを決めてしまった」という氏のストーリーを新興スポーツリーグの観点から面白く思い、本記事を執筆するに至った次第である。
■More than Meets the Eye
ディアディック氏は一見すると「良い年をしてダボっとした服とキャップをかぶっているMTVらしいといえばらしい“大人こども”」に見えるが、時折信じられないほどに“座った目”を見せる。まるで、気の合う仲間とゲラゲラ笑いながらおバカ映像を楽しむ「Ridiculousness」のスタジオにいる自分を俯瞰して我に返っているように見えるときがあるのだ。
本記事の執筆を通して、そんなディアディック氏の“目が座っている”理由が少しだけ理解できたような気がする。皆さんも海外にいる際や日本のケーブルテレビでMTV「Ridiculousness」を観る機会があった際は、是非彼の“座った目”に注目してほしい。
上でも述べた、「点と点を線で結び、意味のあるストーリーを作っていく」工程を通して様々な企業や団体・個人をサポートできることは、コンサルタントという職業を生業にしていく選択をして良かったと思う大きな理由の一つだ。こうした執筆・出版に携わるごとに噛みしめている幸せでもある。
■R.I.P. Dylan Rieder
最後に、私が世界一かっこいいという思うスケートボーダーを紹介したい。
それは、2016年に白血病により惜しくも28歳の若さで亡くなってしまったディラン・リーダー選手である。
彼のことを紹介している記事が多数あるので、詳しくはそれらをご参照いただきたいが、とにかくスタイリッシュでかっこいい滑りとライフスタイルを体現しているスケーターであった。
高度なテクニックを要する技も決めるが、それよりも、モデルも務める彼の長い手足から繰り出される高さやダイナミックな技や、スケボーをするには機能面で適していない襟付きカッターシャツやスリッポン・ローファーで滑走する姿は他の追随を許さない独自のオーラを放っていた。
なぜ彼のことを紹介したかというと、SLSやディアディック氏に文句が一つあるとすれば、「ディラン・リーダーのスケボーを評価できるシステムを作ることができなかった」という点に尽きるからだ。(※あくまで個人の感想です)
どんなスポーツでも言えることだが、「勝つ」喜びと「楽しむ」喜びとが入り混じっての魅力がある。だからこそプロから草の根まで多くの人に愛されているのだろう。
競技としてまだ若いスケートボードが今後どのような進化をしていくのか、あるいはしていかないのか(リアルストリートのライフスタイルを体現する道を突き進むなど)非常に楽しみで仕方がない。
Sho Kume 久米翔二郎
NYに本社を置くスポーツ&エンタメの経営/戦略コンサルティングファームTrans Insight のCHO (Chief Hustle Officer)。
1990年愛知県名古屋市生まれ。音楽専門学校MESAR HAUSエレキギター科/東京大学法学部卒、
戦略コンサルティングファームP&E Directionsの北米オフィス代表(NY)を経て、現職。
音楽/映画/格闘技/X Sports/スタンドアップコメディ/NY/Hustle をこよなく愛するサイコパス。