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11/6(土)にNYのMadison Square Garden(MSG)で開催された総合格闘技イベントUFC268を妻と生観戦してきた。
前々日・前日・当日と計3日間参加してきたのだが、どの日もとても熱く、また学びがたくさんあったのでご紹介したい。
自分なりの参戦Tipsを並べる形式としたので、今後UFCの大会を生観戦したいという方の参考になれば幸いである。
Contents
■初めに
さて、今回のUFC生観戦は我々夫婦にとって、4月にフロリダ州ジャクソンビルで行われたUFC261以来、半年ぶりのものであった。
UFC261は、当時アメリカでまだどのスポーツイベントもフル観客100%キャパで復活していない時期に、15,000人規模のスポーツ施設として初めて観客動員制限なしで開催された記録に残る大会であった。そして、各試合内容も大いに盛り上がるものだった。
(NYからフロリダまで飛行機で飛んで行って応援したホルヘ・マスヴィダル選手は盛大にKO負けを喫してしまったが、夫婦そろっての一番のお気に入りのローズ・ナマユナス選手が見事KO勝利でチャンピオンに返り咲いたので、まあ良かった。)
共和党(トランプ前大統領などの保守派)が強いフロリダ州で開催されたUFC261では、ワクチン接種の可否に関わらず観戦が可能で、なんとマスクの着用義務もない(一応、入場時にマスクが配布されたが、着用義務はなかった。フロリダという土地柄もあってか、ほぼ誰もつけていなかった)という、特に4月当時の感覚としては信じられないくらいのユルーい規制の中で開催された。
勿論、我々はワクチン接種を済ませ、せっかくだからと自前のマスクの上に配布されたUFCロゴ入りのマスクを装着しての2重マスク装備で臨んだのは言うまでもない。
■Tips 1「前々日・前日・当日の3日セットで参戦すべし(都合がつけば)」
UFCのPPVイベントは基本的に、試合が行われる大会当日の他、前々日にメインカード選手を中心とした記者会見、前日に公式計量の後にファンの前で行われる公開計量と、計3日セットで同じ会場でファンが参加できる催しが設定されている。
他のメジャースポーツイベントと比べ高額なチケット代を払うからには、無料で入場できる他の2日間も是非参加したいところ。
(今回私が購入したチケットは1次販売で最も安い席だったが、それでも1枚500ドル弱)
UFC261は私にとって遠征であったため大会当日のみの参加だったが、今回3日間に参加してみて改めてそう感じた。
幸いにも会場のMSGはオフィスから徒歩10分程度にあったため、平日であったが、仕事の合間を縫って全日・前々日の夕方からのイベントに参加できた。
それぞれ簡単に振り返りたい。
(※記者会見・公開計量ともに無料であるが、事前に予約が必要。私の場合はチケットを購入した際に登録されたMSGからメール案内があり、そこから予約)
【前々日:記者会見】
入場開始の1時間弱前に会場に着くと、すでにざっと100人程度のファンが行列を作っていた。
列で待っている間に、UFCが放映権契約を結んでいるESPNで働くお姉さんが「アンケートに協力してほしい」とやってきて、ストリーミングサービス「ESPN+」に関する30秒程度のwebアンケートに答えると、スマホの裏に貼れるカードケースをくれた。
その後、係員に身分証とワクチン接種証明を確認され、金属探知機でのセキュリティチェックや電子チケットのスキャンを経て、MSG内のイベントホール(Hulu Theater)の入口に誘導された。
入口で少し待たされた後、「用意ドン」の合図とともに一斉に皆ステージ近くの席に走っていく。
久しぶりに室内でかけっこのようなことをしたのだが、狭い通路を我先にと皆先を急ぐので少し危険な状態。予想外の事態で妻が心配だったが、後で「久しぶりにあんなことして楽しかった」と言っていたので一安心。
記者席を除くと前から3列目中央の良い席を確保。
関係者や数十~数百万円の高額チケットを買わない限り、3日間を通してファイター達を一番近くで見られる可能性が高いのがこの記者会見であるということが分かった。
主要3カード×2人の6人とUFC代表ダナ・ホワイト氏が登壇しての記者会見が始まると、目当てのナマユナス選手を中心に、向かっての赤コーナーサイドばっかり見ていた笑
メインを務める2選手のトラッシュトークが白熱して、ファンも大盛り上がり。
大会1週間前に毎日更新される公式YouTubeのEmbeddedシリーズで観るのとはまた違った会場の雰囲気を感じる。
やはり生の会場は歓声やヤジがはっきり聞こえて面白い。
記者会見が終わった後、会場に来ていた元ミドル級世界王者のマイケル・ビスピン氏が残ってファンとの写真撮影に快く応じていた。
ちょうど前日にツイートしていたこともあり、個人的に満足。
Congrats to the Champ’s huge display on Times Square last night. Personally, the best explanation of #NFT, forget by an athlete but from anybody!
— Sho Kume/久米翔二郎 (@sho_kume) November 4, 2021
Bispingチャンプも自身プロデュースの #NFT の宣伝も兼ねNYC入り。簡潔かつ超分かりやすくNFTを説明。そりゃ引退後も安泰な訳だわ。#UFC268 https://t.co/R2N11u2Pz9 pic.twitter.com/RJZQvE2AMJ
余談だが、スポーツビジネス界の人間としては、ビスピン氏のNFT(非代替性トークン)の説明のわかりやすさに感激せずにはいられない。これまで聞いてきた説明の中でもダントツ。さすが!
記者会見の個人的ハイライトは、記者に「リベンジに燃える相手のウェイリー選手はあなたと戦うためだけに様々対策を練ってきているとのことだが、今回の試合に臨む心境としては、獲物を狙うような気持ちですか?それとも狙われるような気持ちですか?」と問われた際に、王者ナマユナス選手がさらっと一言「I am the Champion」と一蹴した場面。
【前日:公開計量】
前々日と同様の時間帯に会場に着くと、より長い行列ができていた。
少人数の選手しか参加しない記者会見と違い、公開計量は全選手が登壇するということや、よりショー性の強いイベントということもあり、参加するファンも増えているような気がした。
記者会見の日と同様な流れで入場を済ませて、イベントホールの入口に到着。 違ったのは、前述のような危険なかけっこが発生したのを受けてか、用意ドンではなく、係員が徐々に全員を歩いてゆっくりと座席に誘導するスタイルに変わっていた
この日も前から2列目の中央から少しずれた良い席をゲット。
大会前日ということや前述のように参加選手が多いことなどもあってか関係者席が多く、ファンが座れる席は記者会見よりは10列ほど後列からのスタート。
「ESPN+」の事前番組収録用のセットも組まれていて、チェール・ソネン叔父貴とアンソニー・スミス氏(解説時はいつも眼鏡にスーツ姿の彼を、UFC261の頃から妻は「インテリ」の愛称で呼んでいる)も来ていた。
公開計量が始まると、おなじみジョー・ローガン氏のイントロでアンダーカードの第1試合から順に選手達が紹介されていき、体重計に乗るパフォーマンスをしてからフェイスオフをしてゆく。
スタンドアップコメディが好きな自分は、UFCを好きになる前からローガン氏のスタンドアップの動画をよく観ていたのだが、気が付くとUFC261も含めると、スタンドアップを生で1回も見られていないのに、3回もUFCで生ローガン氏を見ていることになってしまったのはちょっと変な気分。
記者会見もそうだがこの公開計量では、翌日の大会当日の各対戦カードのファン構成比がどうなっているかを、声援の量である程度予測できるようになるというメリットもあると感じた。
メインの「ウスマン選手vsコヴィントン選手」の声援が半々だったのは意外だった。
特に紹介もなかったこともあり、「ナマユナス選手vsウェイリー選手」のフェイスオフを、Netflixで公開予定の自身が監督主演を務めるMMA映画「Bruised」(UFCチャンピオンのヴァレンティーナ・シェフチェンコ選手が出演&監修)の宣伝も兼ねて登壇していたアカデミー賞主演女優受賞の大女優ハル・ベリー氏が取り仕切っていたことに全く気が付かなかった。
この日の個人的ハイライトもナマユナス選手で、翌日の意気込みを聞かれた際に、神・母国リトアニア・相手選手・UFCへの感謝の意を述べた後に、しっかりNYC民への愛を忘れないチャンプ。
帰り際に会場の前で、元UFCファイターで現在は解説やUFCのYouTubeシリーズ「Dana White: Lookin’ for a Fight」のレギュラーのディン・トーマス氏が写真撮影に応じてくれた。
■Tips 2「アンダーカードもスタンスを取るべし」
ご察しの通り、UFC268参戦の一番の目的はナマユナス選手で、ページトップ画のThug Rose Tシャツを夫婦で色違いのものを着て観戦に臨んだ。
UFC261と違ったのは、意識して目当ての試合以外にもしっかり応援する選手を用意していたことだ。
UFC261ではメインカード5試合が始まるまで、少し気持ち的に中弛みしてしまったという反省点を踏まえての改善だった。
第1試合から会場入りすると実に6時間程度にも及ぶ長期戦なので、生観戦される方には是非とも実践してもらいたいTipsだ。
無理に自分でリサーチしようとせずとも、UFCが公式YouTubeで気軽に観られる手頃な材料を提供してくれている。
メインカードについては、「Count Down」や「Embedded」シリーズがあるし、その他にも注目選手をまとめた動画などをラインナップしている。こうした動画を活用しながら、イアン・ゲイリー選手、ボビー・グリーン選手をいずれもYouTube(The Future、Origins)から注目選手に加えた。
その他アンダーカードでは、ヘビー級特権(「やっぱりヘビー級でしょ」理論)からクリス・バーネット選手vsジアン・ヴィランテ選手、アデサニヤ選手の宿敵アレックス・ペレイラ選手を当日のウォッチリストにしていた。
この判断は大正解で、UFC261とは違い、最初から最後まで飽きることなく存分にイベントを楽しむことだができた。
このTipsは実践して本当に良かったと思っているので、参戦時には是非実行してほしい。
<Coffee Break> MSGのコロナプロトコル
会場となったMSGがあるNY市の属するNY州では、今年6/16より観客100%動員が解禁されており、UFC268観客動員無制限の中実施された。
動員制限は撤廃されたものの、州政府の指導方針に加え、会場であるMSG及び興行主のUFC(といってもこの場合UFC側の規制はほぼ皆無だと思うが)が定めるコロナプロトコルは存在する。
前述のように、入口では身分証とワクチン接種証明を係員にチェックされた。
ワクチン接種ステータスに関わらず入場はできるが、未接種者にはマスク着用義務が課されていた。
とはいうものの、誰かがずっと未接種者を監視しているわけではないので、この規制はあってないようなものかなと思った。
もしかすると、リストバンドなど(取り外せるものだと意味ないが)で管理していたのかもしれないが、よくわからない。
ちなみに、ご案内の通り100%動員なので、いわゆる座席などでのソーシャルディスタンスルールはなかった。
チケットは100%モバイルで紙のチケットは発行されない。スマホ画面のQRコードを読み取っての入場。
コンセッション(飲食・グッズ売店)に関しては、100%キャッシュレス決済となっていて、中にはいわゆるセルフレジ形式で、店員との接触がないところもあった。
もっとも、ここでビールを買った際に、店員に「缶の状態では座席エリアに持ち込めないので」とコップに移し替えられるときにガッツリ触っていたので、その点では機能していなかったが笑
また、今ではすっかりこうしたアリーナ・スタジアムではおなじみになっているが、現金しか持っていない人用に「リバースATM」(現金を入れるとその分チャージしたプリペイドカードが出てくる)が用意されていて、利用している人もいた。
(※NYCでは、現金を支払い方法として受け付けないことは違法なので、100%キャッシュレスにしたい店はこうしたリバースATMの設置が必須)
■Tips 3「手荷物は最小限にすべし」
UFC268では、55.88cm x 35.56cm x 22.86 cmの大きさを超えるバッグは持ち込み禁止であった。
会場によって多少の大小はあっても、基本的にフルサイズのバックパックは持ち込めないと思ってもらってよい。
私も鞄を一切持たず、財布・スマホ・双眼鏡だけポケットに入れて手ぶらで参戦した。
これはUFC261での失敗を生かしてのことだ。
NYからフロリダへの遠征であったUFC261では、ホテルを取らず空港から会場のアリーナに直行したのだが、入場時の持ち物検査で夫婦二人とも「鞄が大きすぎる」という理由で入場を拒否されてしまったのだ。(チケット購入時にどこかに記載はされていたのだろうが、見落としていた)
いわゆる荷物預かり所もないということで、単純にアリーナに入れないと言われ、「空港から直行してきたんですorz」と交渉しても、「ダメ」と一言突き返されてしまった。
いやー困ったどうしたものか、近くのホテルに行って宿泊客のフリをして荷物を預けるかなどとエントランスを出て二人で絶望しているところに、責任者らしき女性(担当者が不憫に思って上司に掛け合ってくれたらしい)が出てきて、「今回だけよ。荷物は通路の邪魔にならないように常に座席の下において、絶対に荷物だけにして席を離れちゃダメ。」と言って、荷物に認証タグをつけた上で入場を特別に許してくれた。
アジア人の見た目で「空港から来た」ということで、もしかすると、この大会に出場していたジャン・ウェイリー選手の応援のために本国から駆け付けた中国人と勘違いしてくれたのかもしれない。(ごめんなさい。ありがとう!)
何はともあれ、荷物は最小限に越したことない。
鞄がない者は鞄がある者と別のファストレーンでのセキュリティチェックが受けられるというボーナスも付いてくるかもしれない。
(今回のMSGでの3日間はすべてそうでした。おかげで、自由席の記者会見と公開計量はここで何十人もごぼう抜きにして良い席が取れた!)
■Tips 4「目当ての試合を軸に、トイレ・売店に行く計画を予め立てるべし」
このTipsは何もUFCに限ったことではないので特に深入りはしないが、個人的には、これを意識することで、UFC261の時よりも効率的で心にゆとりを持った観戦をすることができた。
ここで、個人的に注目していた試合、会場で盛り上がった試合を実際に撮影した映像とともに紹介したい。
・第4試合:ヘビー級 クリス・バーネット vs. ジアン・ヴィランテ
素手で戦った際に誰が一番強いのだろうという中二病的考えから格闘技にのめりこんでいった自分としては、ヘビー級は無条件に観ていて楽しい。
それまでの3試合がすべて判定で煮え切らない試合が続いていた中で、巨漢バーネット選手の機敏な後ろ回し蹴りからのパウンドアウトに会場が爆発。目の覚めるような一撃にMSGの空気が一変して最高でした。
・第5試合:ウェルター級 イアン・ギャリー vs. ジョーダン・ウィリアムズ
前述の通り、UFCのYouTube動画で応援しようと決めたイアン・ギャリー選手。
コナー・マクレガーと同じアイルランド出身でCage Warriorsのチャンピオンで、無敗でのUFCデビュー戦。佐藤天選手のSanford MMAでのチームメイトでもある。
個人的には動画で言及していた「前のジムのコーチから見放されてタイトルマッチを実質セコンドなしで戦った」というエピソードがかなり闇を感じて好きだ。今後色々と表に出てくることに期待したい。
試合の結果は、1R終了間際、マクレガー選手を彷彿とするバックステップからのカウンター右ストレートでKO勝ち。またMSGでマクレガー選手と同じ日に観たいが、まあ、やるとしても最初は地元アイルランドかな。
・第8試合:ライト級 ボビー・グリーン vs. アル・アイアキンタ
こちらも事前に公式YouTubeの自身の壮絶な過去を語る動画でチェックして応援せずにはいられなくなったボビー・グリーン選手の試合。ただ、実は応援しようと思った一番の理由は、その動画の語りが俳優バリバリの雰囲気を醸し出していたことに惹かれたからだ。妻は「ちょっと作りすぎてるかな」とあまりノれなかったみたいだが笑
試合の結果は、ケージ際に追い込まれながら右ストレートがきれいに決まりグリーン選手の1RTKO勝利。
・第9試合:ミドル級 アレックス・ペレイラ vs. アンドレアス・マイカライディス
ミドル級王者アデサニヤ選手をキックボクサー時代にKOしたことがあるということで、UFCデビュー戦が注目されたアレックス・ペレイラ選手。
何度かテイクダウンされながらも、最後はしっかり飛び膝蹴りを決めてのデビュー戦KO勝利。
印象に残ったのは、会場がペレイラのスタンドを見たかったということもあるが、それまで5試合連続でKO試合が続いていたこともあり、組みの膠着状態になると会場からは大ブーイング。結果、この試合で6試合連続KOとなったので、メインに向けての観客のハードルがかなり上がっていた。
・第10試合:ライト級 ジャスティン・ゲイジー vs. マイケル・チャンドラー
ファイト・オブ・イヤー最有力候補となった激闘。お互いレスリング出身ながら殴り合いを好むガチンコファイター同士のこの一戦は、15分間ずっと目が離せないエキサイティングで激熱な攻防だった。
結果は明確なダウンを奪うなどしたゲイジー選手の判定勝ち。
会場で観ていて個人的に一番上がったシーンは、チャンドラー選手が腰の強いゲイジー選手を持ち上げてテイクダウン。(放送映像で見返すと、途中からゲイジー選手がわざと力を抜いて、その後すぐに足をつかんでバックにまわってましたね。さすが)
※特別映像:ジャスティン・ゲイジー vs. マイケル・チャンドラー5分3ラウンド計15分 会場視点
-第1ラウンド
-第2ラウンド
-第3ラウンド
・第12試合:バンタム級 マルロン・ヴェラ vs. フランク・エドガー
元ライト級チャンピオンのエドガー選手とライジングスターショーン・オマリー選手を破ったヴェラ選手との注目の一戦。
ヴェラ選手は前日の公開計量の時からひと際スターのオーラを放っていた(後述)。
結果は、ヴェラ選手がアンデウソン・シウバ選手を彷彿とさせるフロントキックでのKO勝利。
ヴェラ選手の母国エクアドルの国旗を掲げるファンが多く、それ見ながら、「いつかこれが日本の国旗になっている光景が見たいな」と強く思った。
・第13試合:ストロー級タイトルマッチ ローズ・ナマユナス vs. ジャン・ウェイリー
我らがThug Roseチャンプのタイトル防衛戦。夫婦そろってThug Rose Tシャツで参戦した今回のUFC268の一番の目的のカード。チャンピオンにも関わらず事前オッズではアンダードッグとして臨んだこの試合では、序盤のラウンドで押されるも、しっかり取り返して防衛成功。
これでこの日は満足。安心してその後のメインも観られてよかったです。
(UFC261では、応援していたマスヴィダル選手があっけなくKOされた悲しく帰路についたのとは大違い)
この試合でも一番アガったのは、ナマユナス選手がテイクダウンを取ったシーン。
自分はスタンドの攻防が好きなはずだが、さっきから注目ポイントがテイクダウンばかり笑
会場では明確なKOは別として、テイクダウンが分かりやすいポイントだというのもあるかもしれない。
・第14試合:ウェルター級タイトルマッチ カマル・ウスマン vs. コルビー・コヴィントン
今回のメイン。リベンジに挑むコヴィントン選手の入場曲は、WWEのヒール カート・アングル氏のテーマ。敵も味方も参加できる「You Suck!」の合いの手チャントは楽しかった。
結果は終始ウスマン選手が圧倒して防衛。
試合前のトラッシュトークが過熱していた両者が最終ゴングの後抱擁したシーンに会場はどよめき。
実は↓こんなこと言っていたなんて、やっぱコルビーはいい奴笑
試合とキャラがパッとしないという理由でUFCからリリースされそうになってキャラ変した当選手のエンターテイナーとしての努力には脱帽。
“It’s all love.”
— UFC on BT Sport (@btsportufc) December 1, 2021
The UFC cameras reveal what was said between Kamaru Usman and Colby Covington after their rematch at UFC 268.
🎥 UFC Thrill & Agony on UFC Fight Pass pic.twitter.com/4ZTQd1471y
<Coffee Break> 生で見て最もカリスマ性のあった選手
今回の生観戦での一番の収穫は、Chitoことマルロン・ヴェラ選手のカッコよさを知ることができたことだ。
観戦前の段階では、最近ショーン・オマリー選手を倒したけど、その後ジョゼ・アルド選手に敗れてしまった程度の印象しか持っていなく、正直ほぼノーマークだった。
そんな中、全選手が登場した公開計量では、ダントツのオーラを纏っており異彩を放っていた。
そして試合当日では、エクアドルの国旗を掲げるファンが大勢いる中で一番「国を背負っている感」を感じた選手で、しっかりあざやかなKO勝ちで仕事を果たした。
また、ステージ裏やインタビューなどを観ると、何より良い感じの雰囲気を出している。服装もおしゃれだし。
戦績を調べると、18勝7敗と負けも多いものの、KOや一本負けがないのも推せる。
試合翌日には、NYはずれのQueensの私のアパートから徒歩3分の距離にあるエクアドル料理屋を訪れている点も、個人的にはポイントが高い。
Comida Ecua en Queens NY gracias restaurant Barzola 🙏🏽❤️💯 pic.twitter.com/AQP47fqqaI
— C H🖕🏽T O🇪🇨V E R A (@chitoveraUFC) November 11, 2021
このように、すっかり当選手のファンになってしまった。生観戦だからこその体験だ
■Tips5「交通の便が良い会場を選ぶか、近くにホテルを取るべし!」
このTipsもUFC261の反省からくるものだ。
今思えばなかなか無謀だが、UFC261の時はホテルやAirbnbを取っていなかった。作戦はこうだった。
“メインが終わるのは1時頃。そこからUberかLyftで会場から10km離れたAmtrak鉄道の駅(24時間営業)まで行って待合室で始発列車を待つ。”
しかし、いざ会場を出ると、UberもLyftも捕まらない。会場から離れても一向にダメ。その上ポツポツ雨まで降ってきた。ホテルを周ってもどこも満杯。仕方なく近くの立体駐車場の階段で雨宿りした。
朝まで待ってもUberは捕まらないなと判断し、2時間半かけて駅まで歩くことにした。最初はまだ街中で道も明るかったが、次第には電灯がない道やそもそも歩道がない道路などを永遠歩いた。深夜で疲れているし、眠いし、トイレにも行きたいし、で散々だった。
特に妻にとってはここに「怖いし」(人気のない道で、さらに途中野犬も見かけた)が加わり、「(街中にあって24時間地下鉄で帰宅できる)MSGじゃないともう一生UFCは観に行かない」と宣言させてしまうほどだった。
なので、郊外の会場に観戦に行く際は是非事前に宿を取られることを強くお勧めする。
最もUFCのホームアリーナのT-Mobile Arena(ラスベガス。ホテルが立ち並ぶ中心街に位置)やMSG(NY。マンハッタンど真ん中。)あたりは間違いがないので、大丈夫だ。
その点では、今回のMSGは問題なかった。メインカードが判定続きだったこともあり、終わったのが深夜2時前だったが、がら空きの地下鉄に乗って乗り換えなし30分ほどでアパートに帰りついた。MSG最高。
<Coffee Break> 女性にも人気のUFC生観戦
UFC261の観客は90%くらい男性だった(しかも好戦的な人が多かった。なんで会場前の芝生で取っ組み合いを始めるんだよ笑)が、UFC268は80%くらいと女性も比較的観に来ていた。
そして、観客席での観戦体験においては、我々夫婦の周りでは完全に女性達の方が楽しんでいた。
私達の座席付近は下記図のような感じ。(青:男性、赤:女性)
まず、斜め後ろに座っていた若いカップルのうちの女性の方は、第1試合からすべてスタンスを取って、「Let’s go ○○!!」と死ぬほど叫びまくっていて最高だった。
結構応援している選手が負けていたが、そんなことはお構いなし。次の試合が始まれば切り替えてまた精一杯叫んでいた。
↑メインカードでは、ゲイジー選手とナマユナス選手推しでしたね。
プレリムから私の横(彼女の正面)にやってきた中年夫婦のお二人は、途中から耳を抑えながら「Geez! 勘弁してくれよー」とボヤいていたので、ちょっと気の毒ではあったが。
そして、妻の横にメインカードからやってきた女性は「あたしウスマンが勝てばそれでいいの」とオオトリだけ観に来ていたそうだが、コヴィントン選手の入場曲の「You Suck!」チャントを面白がって参加していたし、試合中にコヴィントンアンチによる「F*ck you Colby!」のチャントに大喜びしてゲラゲラ笑っていました笑
■終わりに
今回のUFC268はPPVが70万件(US国内のみ)を記録し、ゲート収入も990万ドルでMSGの全興行の中で歴代4位(ちなみに1位もUFCでUFC205(マクレガーvsアルバレス)の1,770万ドル))と興行的にも大成功を収めた大会であった。
スポーツ界に身を置くものとして感じるのは、業界人の中でもいわゆる北米4大メジャースポーツと比べると、残念ながらUFCはまだまだ下に見られているということだ。最近参加したカンファレンスでUFC関係者が登壇した後の参会者の反応は「UFCって最近よく聞くけど、結構頑張ってるのね」という程度のものだった。
前述のような興行成績に加え、コロナ渦でもFight Islandのぶち上げ、UFC268での100%観客動員復帰の先駆者となるなど、スポーツビジネスとしてもすごいリーグ・団体であるのに、歯がゆい思いをしている。グローバル化を加速していく中で、スポーツ界におけるプレゼンス(というかRecognition)が高まっていくことにも期待したい。
私個人としては、スポーツ界に入った当初からの目標の一つに「UFCで日本人チャンピオンが恒常的に生まれる仕組みを作る」というのがある。
現在は絵空事に過ぎない構想でしかないが、今後時機を見て各種関係者にアプローチしながら、実現に向けて動いていきたい。
すでにUFCのCOOローレンス・エプスタイン氏には「日本とアジアでのUFCのプレゼンスをブーストするのは私だ。以後Sho Kumeの名は覚えておいてくれ」と直接言ってあるので、有言実行しなければ。
Sho Kume 久米翔二郎
NYに本社を置くスポーツ&エンタメの経営/戦略コンサルティングファームTrans Insight のCHO (Chief Hustle Officer)。
1990年愛知県名古屋市生まれ。音楽専門学校MESAR HAUSエレキギター科/東京大学法学部卒、
戦略コンサルティングファームP&E Directionsの北米オフィス代表(NY)を経て、現職。
音楽/映画/格闘技/X Sports/スタンドアップコメディ/NY/Hustle をこよなく愛するサイコパス。